裏社会の怪談というと、どうしても怖い職業の人たちによるアウトレイジ的な所業や、今世間で騒がれている闇バイトに参加して恐ろしい目にあったなど、いわゆるヒト怖に分類されるものが多い気がします。そういった話も個人的には興味深いのですが、あくまで心霊的な要素がメインの話って調べてみてもあまりない気がします。
時々みつかるのは、あの組事務所は出るから刑事もあまり行きたがらない、みたいな話や、誰もいない事務所の一室から、明け方になるとおいおい泣いているおじさんの「俺はまだ死にたくなかったのに」という声が聞こえるなど。
「出る事務所」の話は刑事があまり来ないのをいいことに良くない物の取引に使われていた、なんて裏家業の人間のしたたかさのようなものも感じられます。
ようするにヤクザは幽霊を怖がらないだろ、というイメージを多くの人がもっていて、逆に利用しちゃったりして、結局ヤクザの方が怖い、となってしまうのでしょう。怖がらせたい幽霊と怖がらないヤクザの構図なんてコメディの一つのジャンルですらありますし。
怖いものと怖いものを掛け合わせても相殺してしまうのでしょう。
私の中で印象深い裏社会怪談を一つあげると、「地下の井戸」という話があります。裏の世界の怖い話に興味をもったきっかけの怪談かもしれません。
まあ有名な話なので知っている人も多いかと思いますが、次の記事でご紹介させてもらいます。