田辺青蛙 「人魚の石」
最初の方は、これは何小説何だろう?と思いながら読んでいました。淡々と主人公と人魚のうお太郎の怪しい生活を無心で読んでいたのですが、後半になってああこれは紛れもなくホラー小説だと思いました。
田辺青蛙さんの小説を始めて読んだのは2009年。
メディアファクトリー主催の怪談の宴2009というイベントのチケットが抽選で当たり、行ったとき。
開演前だったか、間の休憩の時間だったか忘れたのだけど、物販コーナーをぶらぶらしていて、何気なく手に取った文庫本を見ていたら、かたわらに立っていたスタッフの男性に、「今買えば田辺先生ご本人にサインを書いてもらえますよ」と言われ、目の前に座っている女性がスタッフさんではなく作家本人だと気づいた。
その時は田辺さんのことを全く知らなかったのだけど、なんだか気まずくて買ってしまった。
その時買ったのが「生き屏風」
サインも書いてもらい家に帰ってから読んでどはまりした。
あの時、私が田辺さんを知らないということ、きっと田辺さんも察していたと思います。
タイムスリップできるならあの時に戻って、「まだ読んでないけどあなたの小説すっごい好きですよ」と言いたい。